120519 利根川水系ホルムアルデヒド禍 |
Massive leak of hazardous formaldehyde into Tone River |
災害の概要
- 場所 利根川水系(群馬県、埼玉県、千葉県、茨城県、東京都)
- 時期 2012年5月17日埼玉県で検出、19日〜20日の千葉県の断水被害が中心。
- 分類 水源汚染
2012年5月17日埼玉県企業局行田浄水場で、送水前の浄水から水道水質基準を上回るホルムアルデヒド(0.08mg/L)が検出。これを受けて、他の利根川水系の浄水場でも水質検査したところホルムアルデヒドが検出され、一時取水停止。千葉県では19日に大規模な断水に至る。濃度の低下に伴い取水再開し、20日のうちに断水は解消される。その後の調査で、原因物質がヘキサメチレンテトラミン(HMT)とつきとめられ、埼玉県、群馬県の工場立ち入り調査により、25日に原因物質を流した産廃業者と、産廃業者に委託した業者が判明。
日時 |
水道被害 |
対応状況 |
120517 |
- 埼玉県行田浄水場で0.168mg/Lのホルムアルデヒド検出。
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120518 |
- 千葉県野田市上花輪浄水場、取水及び配水停止。
- 北千葉広域水道企業団北千葉浄水場取水停止。
- 埼玉県行田浄水場取水停止。。
- 群馬県東部地域浄水場取水停止。
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- 関東地方整備局、ホルムアルデヒドの濃度を下げるため、渡良瀬貯水池と薗原ダム、下久保ダムから緊急放流開始。
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120519 |
- 千葉県栗山浄水場一時取水停止。
- 茨城県五霞町川妻浄水場一時取水停止。
- 断水
- 野田市 54,000戸
- 柏市 161,000戸
- 流山市 69,000戸
- 我孫子市 35,000戸
- 八千代市 38,000戸
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- 【最大被害】
- 千葉県、東京都や横浜市などの協力も得て給水車37台を用意し、各地に配備。自衛隊に災害派遣を要請。
- 首相官邸、危機管理センターに情報連絡室を設置し、関係省庁連絡会議を開く。
- 埼玉県群馬県の調査で、ヘキサメチレンテトラミンが原因物質と推定。
- 埼玉県行田浄水場取水再開。
- 群馬県東部地域浄水場取水再開。
- 北千葉広域水道企業団北千葉浄水場取水再開。
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120520 |
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- 【千葉県5市の断水復旧】
- 群馬県、利根川を含む5つの河川で定点監視実施。
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120521 |
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- 群馬県、ヘキサメチレンテトラミンを扱う業者に、立ち入り調査を総当たりで行うことを決定。
- 群馬県警捜査開始。
- 厚労省、環境省連絡会議開催。
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- 厚労省・環境省、原因物質をヘキサメチレンテトラミンと断定。群馬、埼玉両県に事業所立ち入り調査要請。
- 国交省、ホルムアルデヒド希釈のための藤原ダム(みなかみ町)の緊急放流を停止。
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120525 |
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- 【災害収束】
- 群馬県原因物質産廃業者を、埼玉県産廃を委託した業者をつきとめる。
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被害の状況
水道が受けた被害
- 浄水場、取水・送水停止により断水。被害額は概算3億円。
水道による二次被害
- 希釈のための、ダムからの緊急放流により、利根川の水位上昇。みなかみ町では水位が一時はん濫注意水位に迫る。
対応と対策
平時の備え
- 高度処理の浄水場はホルムアルデヒドも除去できるので、被害無し。
応急対策
- 粉末活性炭を投入して吸着し、濃度を下げた。
- 備蓄水で希釈。
- それでも、濃度が高い状態が続いたのと、備蓄水がなくなって、取水停止。
- 取水停止中、調整池にある分で配水。
- それもなくなると、送水停止。給水車出動。
- 関東地方整備局、ダムより緊急放流で希釈。
抜本対策
- ホルムアルデヒドも除去できる高度処理の導入。
- 他浄水場とのネットワーク化。
- 井戸など他水源の整備。
- 塩素と反応してホルムアルデヒドが生成されるアミン類の物質の法規制。
教訓
- 事業体同士や事業体から市民への情報伝達に不備があり、被害を大きくした。
- 浄水の過程で有害物質に変わる無害な化学物質の法規制が課題となった。
- 高度処理の有効性が確認された。
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災害データベース
備考・出典
更新履歴
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